今日は、通貨スワップについて簡単に解説していきたいと思います。
「通貨スワップ」とは?
「通貨スワップ(協定)」とは一体なんでしょうか?
「通貨スワップ(Currency Swap)」の「スワップ(Swap)」は、「交換する」という意味です。
つまり、「(二国間において)通貨を交換する協定・仕組み」が「通貨スワップ」です。
「通貨スワップ」とは?
(二国間において)通貨を交換する協定・仕組み
なぜ、こんなことをする必要があるのでしょうか?
それは、「通貨危機を未然に防ぐため」です。
「通貨危機」とは、自分の国の通貨(自国通貨)が暴落することです。
暴落とは、通貨が一気に売られて安くなるということです。
たとえば、韓国のウォンの例で言えば、これまでウォンを持っていた海外投資家が一斉にウォンを市場で売ることで、ウォンの価値が下がり、激しいウォン安になること。これが通貨危機です。
こうした自国通貨の暴落に見舞われた場合、その国の政府や中央銀行は「為替介入」を行い、通貨を買い支え、暴落を押しとどめようとします。
(為替介入については別の記事にくわしく書いたので参考にしてみてください)
為替介入の際に使われる元手の資金を「外貨準備」と言います。
外貨準備は、その国の政府や中央銀行などが保有する外貨(外国のお金)のことです。日本でも韓国でも、外貨準備と言えば、ドルが大半を占めます。ドルは最も国際決済で使われる通貨(国際通貨:ハードカレンシー)だからです。
たとえば、日本の現在の外貨準備高(8月末時点)は、約1.3兆ドル(約150兆円)ほどです。(財務省HPより)
通貨危機が起きると、その国の政府は保有しているドルなどの外貨を売り(外貨準備を切り崩し)、自国通貨を買うことで、なんとか通貨の暴落を防ごうとします。
しかし、通貨危機の際に、自己通貨を買い支えようとしても、そのための元手である外貨準備高が不足してしまったら、いずれ買い支えることができなくなります。そうすると、通貨は一気にナイアガラの滝のように暴落していきます。
そのため、外貨準備が不足しそうになったときには、通貨スワップを締結した国からその支援してもらうわけです。
たとえば、現在の日本の場合、アメリカやEU、イギリスなどの国と、無制限の通貨スワップ協定を結んでいます。
アジアにおいては、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイの4か国とは制限つきの形ですが、通貨スワップ協定が締結されています。
たとえば、もしタイから要請があれば、日本は米ドルや日本円(どちらともハードカレンシー)をタイに融通します。(代わりにタイの通貨であるバーツを一定のレートで担保としてもらう)。
逆に、日本が要請すれば、日本円をタイが持つ米ドルを交換することになっています。(参照:財務省HP)
通貨スワップは、たいていの場合、国際的にあまり信用されていない通貨を保有している国がリスクヘッジとして使うことが多いのが特徴です。いわゆるその国だけで流通しており国際的には使われていないような通貨(地域通貨:ローカルカレンシー)を持つ国です。
韓国のウォンも国際的にあまり信用のない地域通貨と言えるため、ドルや円などの国際通貨(ハードカレンシー)を供給してくれる日本との通貨スワップを望んでいるわけです。
ここまでのポイントをまとめると、
通貨スワップの3つのポイント
1.通貨スワップは、(二国間において)通貨を交換・融通し合う協定・仕組み
2.通貨スワップの目的は、通貨危機を未然に防ぐためこと
3.通貨スワップは主に弱い通貨を持つ国のリスクヘッジのために結ばれる
ということです。
そもそも、なぜ通貨の暴落は問題なのか?
なぜ通貨の暴落が問題なのかと言えば、外国からの借金を返せなくなり、最悪の場合はデフォルト(債務不履行)してしまうからです。
たとえば、実際に韓国が1997年に通貨危機に見舞われた時に、ウォンは1ドル1000ウォンから、最悪の時で1ドル2000ウォンまで下落しました。
つまり、同じ額のドル建ての借金を外国に返すのにそれまでの2倍のお金が必要になってしまったわけです。これはきついですね。
こうした国家のデフォルトに発展しうる通貨危機を未然に防ぐために、外貨準備が不足した国への支援の枠組みとしての「通貨スワップ」が存在するわけです。
通貨の暴落の問題点
(外国から借金をしている国=対外債務国の場合)借金の実質的な負担が急激に大きくなるため、デフォルト(債務不履行)に陥ってしまう。
まとめ
簡単ですが、通貨スワップについて解説しました。
参考になれば嬉しいです。