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【簡単】「国際収支」「経常収支」とは?わかりやすく徹底解説。

こんにちは。

今日は世界経済を理解する上での必須知識の一つとも言える国際収支や経常収支についてわかりやすく解説していきたいと思います。

「国際収支」とは?

「国際収支」とは何でしょうか?

国際収支は、一国の海外とのお金のやりとりを表した統計です。「収支」は、「収入と支出」のことなので、「国にどれくらいのお金が入ってきて(収入)、どれだけのお金が出ていったのか(支出)」を表しています。いわば一国の家計簿と言えます。

国は、海外とモノやサービスなどを貿易でやりとりしたり、株などの証券を取引したり、様々な経済活動を行っていますが、そこでは当然お金のやりとりが発生します。それらのお金のやりとりを家計簿としてまとめたものだと考えてください。

参考までに、財務省は国際収支を以下のように定義してます。

国際収支状況(国際収支統計)は、一定の期間における居住者と非居住者の間で行われたあらゆる対外経済取引(財貨、サービス、証券等の各種経済金融取引、それらに伴って生じる決済資金の流れ等)を体系的に記録した統計です。(財務省HP:https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/より)

重要なポイントとして、国際収支統計では、どんな取引であっても必ず、外貨が自国に入って来れば「プラス(黒字)」、外貨が自国から出ていけば「マイナス(赤字)」として記録します。

国際収支のポイント

外貨が自国に入ってくる→「プラス(黒字)」

外貨が自国から出ていく→「マイナス(赤字)」

国際収支は、「経常収支」「資本収支」「外貨準備高増減」の3つで構成されています。(正確には「誤差脱漏」という統計上の誤差を調整するための項目もありますがここでは省きます)

国際収支の構成要素

国際収支=①経常収支+②資本収支 +➂外貨準備高増減

それぞれの中身について見ていきましょう。

①経常収支

ニュースでもよく出てくる「経常収支」。国際収支を構成する3つの要素の中でも一番重要な要素です。

経常収支は、以下の4つから構成されています。

経常収支とは?

経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支+経常移転収支

それぞれについて説明します。

貿易収支

「貿易収支」は、「財(モノ)」の輸出入の収支ですね。よくニュースなどでも話題になります。日本の場合は、資本財や耐久消費財(自動車など)の輸出をメインで行っていますが、そこから輸入分を差し引いて、収支が黒字であれば「貿易黒字」、赤字であれば「貿易赤字」と言われます。

サービス収支

「サービス収支」は、製品などの「財(モノ)」ではなく、目に見えないサービスについての収支です。具体的には、観光(旅行)、運送、教育、保険、金融、医療、特許(使用料)などです。たとえば、私が日本から中国に旅行に行ったとして、食費や交通費など含めて20万円を使ったとしたら、サービス収支は20万円マイナスになります。(サービス収支は、貿易収支と合わせて、「貿易・サービス収支」と言われることがあります。)

第一次所得収支(旧:所得収支)

第一次所得収支(2013年以前は「所得収支」)は、「外国との所得のやりとり」に関する収支です。具体的には、「外国からの日本の所得」と「日本からの外国の所得」の差し引きです。「外国からの日本の所得」は、海外で働く日本人の所得(「雇用者報酬」)や、日本人や日本企業が海外に保有している金融資産などからの利子・配当収入(「投資収益」)、海外に拠点を持つ子会社からの利益などです。たとえば、私がアメリカのAppleの株式を取得して、そこで得た配当はプラスの所得収支になります。「日本から外国への所得」はその逆です。

日本はこの所得収支が莫大なため、経常収支全体が常に黒字です。なぜ所得収支が莫大なのかと言えば、日本が海外に持つ資産(対外純資産:対外資産−対外負債)が世界一のためです。日本は世界一のお金持ち国家なんですね。

第二次所得収支(旧:経常移転収支)

第二次所得収支(2013年以前は「経常移転収支」)は、「対外援助」などの無償の物資やお金の取引に関する収支です。国際機関(国連やIMF)への負担金なども含まれます。日本の場合は、海外への援助をたくさん行っている(日本からお金が出ていく)援助国なので、経常移転収支は小幅な赤字・マイナスになっています。

 

②資本収支(金融収支)

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資本収支(金融収支と言う人もいます)は、外国とのお金の貸し借りや投資のやりとりを計上します。

資本収支は以下の通りです。

資本収支とは?

●資本収支=投資収支+その他資本収支

投資収支

投資収支は、外国との間で行われた資産や負債の取引を計上する項目です。

具体的には、直接投資、証券投資(間接投資)、デリバティブなどです。たとえば、日本企業がアメリカで工場を建てたり(直接投資)、株式や債券を取得した場合(証券投資)や、アメリカの不動産を購入したりすれば、それは日本から海外へ投資としてお金が出ていくということなので、資本収支はマイナスになります。

先ほども述べた通り、日本は、こうした「外国に持つ資産(対外資産)」から「日本に外国が持つ資産(日本にとっては対外負債)」を引いた「対外純資産」が約340兆円にも及び世界最大なのです。それだけ、海外にお金を貸し付けている国ということです。(以下、参考)

www.mof.go.jp

ちなみに、こうして取得した資産から発生する「利益」や「利子」「配当金」は、経常収支の中で説明した「所得収支」に計上されます。

日本は対外純資産が世界最大であるため、そこから発生する利益や配当金(所得収支)も莫大になり、経常収支全体が黒字になっているということです。

その他資本収支

その他の資本収支は、たとえばODAなど、外国の社会資本(インフラ)整備などに援助する際のお金です。日本が発展途上国でダムや道路、病院、橋などのインフラをつくるための援助をしたお金などを計上します。「経常移転収支」との違いは、インフラなどの固定資産に使われるか否かの違いと考えておけばいいでしょう。

 

参考

ちなみに、経常収支は英語では「Current balance」といいます。「今現在(Current)」で完結する取引、言い換えれば、将来に対して債権・債務関係を残さない対外取引だからです。たとえば「貿易取引」「サービス取引」は、外国から商品・サービスを購入し、その代金を”すぐに”に支払いますからね。

一方で、資本収支(金融収支)は、「将来にわたって」債権・債務関係を残す対外的な金融取引です。

 

➂外貨準備高増減

「外貨準備高」も経済を理解する上で重要なキーワードです。外貨準備高は、その国の政府や通貨当局(中央銀行など)が保有する外貨(外国のお金)の残高を表します。ただちに利用可能な「対外資産」と言ってもいいでしょう。

なぜ政府が外貨を保有する必要があるかと言えば、海外への支払いや為替介入に使うためです。

では、外貨準備高はどのように増えたり減ったりするのでしょうか?答えは、今述べた「為替介入」です。

為替介入とは、政府や中央銀行が為替レートをコントロールするために時々使う政策です。主に使われるのは、「自国通貨売り、外貨買い」です。

たとえば、日本の円がアメリカのドルに対して、過度に円高になった場合、輸出企業が大きなダメージを受けたりしますので、円安にする必要があります。その際、通貨当局は、「円売り、ドル買い」の為替介入を行うわけですね。円が売られれば、円が市場に出回るようになる(円の量が増える)ので、円の価値は下がります。反対にドルは買われるので、ドルの価値は高まります。こうした為替介入の結果、ドルが政府・通貨当局の手元に外貨準備として貯まるわけです。

経済危機などで、自国通貨が暴落するようなときは、その逆の「自国通貨買い、外貨売り」が行われます。こうした時は、蓄積した外貨準備を切り崩して、たくさん売ることで、自国通貨を買い支えるわけです。

為替介入については以下の記事も参考にしてみてください。

https://www.coresight.org/2019-06-15-233217/

【重要】国際収支の方程式

そして、ここからが最も大切な方程式です。

国際収支の方程式

国際収支=①経常収支+②資本収支 +➂外貨準備高増減=0

「えええ!国際収支は全部足し合わせるとゼロになるの!?」と驚いたあなた。そうなんです。ゼロになるんです(笑)

なぜなら、国際収支表は「複式簿記の原理」にもとづいて作成されているからです。同一の取引を借方と貸方の双方に反対の符号で記録していくわけですから、すべての取引を合計すれば必ずゼロになるのです。

でも、そう言われてもちょっとわかりづらいですよね。ここについては別の記事で改めて解説してみたいと思います。

国際収支を学ぶためのおススメ書籍

以上、国際収支について簡単に見てきました。国際収支を理解できれば、国際的な経済動向等もより深く見えてきます。

国際収支については、以下の書籍を読めばほぼ完璧に理解できるようになります。

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